デジタル人材(非エンジニア)向けデジタルプロジェクトの全体像

  • 2020年8月2日
  • 2022年10月30日
  • DIGITAL
 
デジタルを取り入れるためのプロジェクトの全体像ってどうなっているのですか?
非エンジニアデジタルプロジェクトについて理解しておくべきですか?

こんな疑問に答えていきます。

こんにちは!よんりん(Yonrin)です。

ほぼすべての企業がデジタル・トランスフォーメーション(DX)に取り組むデジタルの時代。

非エンジニアも少なからずデジタルを導入するためのプロジェクトに関与することが求められています。

非エンジニアの自分にデジタルのプロジェクトに貢献することなどできるのだろうか?

デジタルやITのプロジェクトは実際にどのような流れで進められているのだろうか?非エンジニアがプロジェクトチームに共有すべきビジネスの情報はどのようなものがあって、どのようなタイミングでコミュニケーションすべきなのか?

非エンジニアのあなたにとっては、プロジェクトの進め方は未知の世界なのではないでしょうか。

とは言え最近では、プログラミングに興味を持って挑戦されている非エンジニアの方も多いようで、非エンジニアも含めデジタルへの関心が高まっています。

もしあなたが非エンジニアでプログラムをひと通りかじったなら、次に学ぶことは、デジタル(IT)プロジェクトの流れについてだと思います。

なぜなら、プログラミングを学習したことを無駄にせずに、社内のデジタル関連のプロジェクトに貢献することが出来るからです。

この記事を読めば、デジタルプロジェクトの全体像と、非エンジニアがデジタルプロジェクトにおいて貢献できるポイント、が分かります。

もしまだお読みでなければ、「デジタル人材(非エンジニア)になるための学習ロードマップ【保存版】」の記事も合わせてどうぞ。

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digital roadmap

非エンジニアにも分かるデジタルプロジェクトの全体像マップ

早速、非エンジニアにも分かるデジタルプロジェクトの全体像マップです。

デジタルプロジェクトの全体像マップ(クリックして拡大)it project

上段がIT(エンジニア)の作業工程、下段がビジネス(非エンジニア)の作業工程を表しています。

そして、更に一番下には、プロジェクト外のユーザー感情、という情報を入れています。

ここでいうユーザーとは、プロジェクトに直接関わっていないけど、システムのリリース後にそのシステムを使うユーザーのことを指しています。

せっかく作ったシステムも、ユーザーに使ってもらえなければ、意味がありません。新しいシステムを気持ちよくユーザーに使ってもらうための工夫も必要で、プロジェクトの大事なミッションのひとつです。

それでは、詳細に見ていきましょう。

デジタルプロジェクトはビジネス(非エンジニア)とIT(エンジニア)の協力が必要

デジタルの導入プロジェクトというと、技術に詳しいエンジニアチームだけのものと思われるかも知れません。

実際はデジタル化やシステム化する業務のことを熟知しているビジネス(非エンジニア)チームがIT(エンジニア)チームと手を取り合って進めていきます。

そして、ビジネス(非エンジニア)にデジタルやシステムにある程度の理解があるメンバーがいれば(非エンジニアのデジタル人材)、デジタルプロジェクトは格段にスムーズに進めることができます。

要件定義

まずはここから始まります。

ビジネス(非エンジニア)部門が抱える問題や、業務をこうしたいという要望をエンジニアあるいはシステムベンダーがIT観点で取りまとめるのが要件定義です。

実際には、要件定義よりも前に、よりハイレベルのシステム化計画や、ベンダー選定など、企業が行うことはあるのですが、この記事ではシステム開発に着手する時点から話をはじめています。

デジタルプロジェクトの成否は、ここで定義された要望が満たされるかどうかにかかっています。

つまり、非エンジニアがあるべき業務の姿を考え、デジタル技術やシステムがそれを解決するのです。

この段階で、非エンジニアがデジタルの技術やシステムのことをある程度把握していることは、あるべき業務の姿を決めていく上で、非常に役立ちます。

なぜなら、デジタルの技術を使えば「何ができそうか」、という感覚を持つことができるからです。

設計

設計では、要件定義を元に、今ある業務をデジタル化して、システムや自動化の技術をどのように取り入れるのかを決めます。

現状の業務の流れ(As-Isプロセスと呼びます)を詳細に理解して、デジタル導入後の業務の流れ(To-Beプロセスと呼びます)を設計するのです。

設計には段階があり、より抽象的な設計から、具体的な設計へと落とし込んでいきます。

これという決まりはないですが、基本設計→詳細設計のような感じです。

基本設計は、全体の構成をデザインするためのもの。

選択肢がある中で、どれが要件定義の内容を一番満たすことが出来るか、という観点から設計の選択をしていきます。

詳細設計のイメージは、プログラミングを行うエンジニアであれば、誰がその設計書を見て開発を行っても、ほぼ同じものが出来上がる、という細かいレベルのものです。

非エンジニアであっても、プログラミングをかじったことがあれば、詳細設計を見れば自分が普段やっている業務の流れに沿った処理が設計されているかどうか、という検証やエンジニアとの議論が可能になります。

また、システム開発であれば、データベースの構成などをデザインするデータ設計もあります。

開発

前述の要件定義、設計が終わって初めてプログラミングを伴う開発の部分になります。

開発者がプログラムを書いたり、デジタルツールの設定を行ったりします。
エンジニアの仕事ですね。

まずは小さな機能から開発して、自分で試しに動かしてみて、動いたら別の小さな機能と組み合わせて、また自分で試しに動かしてみて、ということを繰り返します。

自分で作った単機能のものを試しに動かしてみることを「単体テスト」と言います。

そして、「単体テスト」済の機能同士をつなぎ合わせるテストを「結合テスト」、更に新たに作ったシステムやデジタルの技術と既存のシステムをつなぎ合わせるテストは「システムテスト」と言います。

この記事では、これらのテストは「開発」の一部としていて、次の「テスト」の手前の段階のものとしています。

ここでも、非エンジニアがプログラミングの勘所を持っていることで、エンジニアとの会話がスムーズになります。

詳細設計に不明瞭なことがある場合はビジネスとITの間でのコミュニケーションが必要になりますが、そこが正しく行われれば、プロジェクトが効率的に進みます。

テスト

エンジニアが開発を終えたら、ビジネス(非エンジニア)チームがテストをします。

このテストのことを特に「ユーザー受入テスト(UAT)」と呼びます。

開発段階のテストがシステムやデジタルの「機能」を検証するのに対して「ユーザー受入テスト」では、「業務」を検証します。

デジタル化されたデータや、システム化された新しい業務プロセスで、実際の業務が実施できるのかを検証するのです。

ちなみにユーザー受入テストは、テストを実施するための「テスト環境」を使います。「テスト環境」でうまくいったプログラムを「本番環境」にそのままコピーして、実際の業務に使う流れです。

そして、この際の検証基準となるのが、「要件定義」の内容です。
一番最初に「要件定義」した内容が、取り込まれていることを確認します。

ユーザー受入テストを実施するのは、プロジェクトのビジネス(非エンジニア)メンバーのこともあれば、プロジェクト外のビジネスメンバーのこともあります。

実は、この辺りからプロジェクト外のビジネスメンバーを本格的にプロジェクトに関与させることには大きな意味が出てきます。

全体像の図にも書きましたが、ユーザーの感情をうまくコントロールして新しい改善活動に前向きになってもらう「チェンジマネージメント」としての位置づけにもなるのです。

具体的な例としては、以下のような点で効果が期待できます。

 新たなデジタルの技術に慣れてもらう
 業務の改善に当事者意識を持ってもらう
 後でより多くのユーザーを教育する役割をサポートしてもらう

そして、こうした効果を引き出すのに最適なのは、ビジネス(非エンジニア)側でプロジェクトを引っ張てきた非エンジニアのデジタル人材なのです。

本番移行

ユーザー受入テストが無事に済んだら、「テスト環境」にあるプログラㇺを「本番環境」に移します。

古いシステムから新しいシステムへの入れ替えのようなプロジェクトの場合は、データを移し替えるためのデータ移行、も実施します。

ユーザー受入テスト~本番移行にかけて、ユーザートレーニングも行います。新しいデジタルの技術やシステムが導入された後の業務の流れについてユーザー教育を行い、新しい業務への移行をスムーズにするためです。

こうしたユーザーへの展開においても、非エンジニアのデジタル人材は非常に力を発揮することができます。

また、ユーザートレーニングと並行してユーザーが何か困ったときのヘルプデスクの予行演習を行ったりもします。

本番運用

いよいよ、本番でデジタル化あるいはシステム化された業務を運用していきます。

本番運用の開始後一定期間は今までの業務のやり方と、並行で実施することもあります。

システムやデジタルの技術に不具合があっても、業務への影響を最小限にするためです。

最初はユーザーも不慣れなので、ヘルプデスクも手厚いサポートをする必要があります。

ビジネス(非エンジニア)のデジタル人材が、ユーザーの簡易な問題に対処できれば、ヘルプデスクがより複雑な問題への対処に集中することができます。

まとめ

非エンジニア向けITプロジェクトの全体像についてまとめました。

デジタルプロジェクトの全体像と流れを理解しておけば、非エンジニアのデジタル人材がどの場面で、どんな貢献の仕方ができるかを考えるのに役立ちます。

特に、最近のデジタル関連の技術は、複雑さがパッケージ化され、ビジネス(非エンジニア)フレンドリーなものが増えています。

すなわち、デジタルプロジェクトにおけるビジネス(非エンジニア)の役割の占める割合が増えてきているということです。

最後に、デジタル(IT)プロジェクトの全体像を学習できるUdemyのオンライン学習コースをご紹介しておきます。

手を動かして学ぶITプロジェクトの資料作成!システム開発のドキュメンテーション技術と成果物テンプレート

実務レベルでは、どのような文書を作り、そのためにどのようなことを検討すべきかを体験することが出来ます。

非エンジニアのあなたにとっても、かなり参考になるはず。

それでは今回は、以上です。最後までありがとうございました!